冬の季語にもなっている水仙。寒い季節でも凛と咲く姿は、昔から日本人に愛されています。水仙は水辺や野山に自生していますが、初心者でも育てやすいため自宅の庭に植えるのもおすすめです。
今回は水仙をより詳しく知りたい人へ向けて、開花時期品種花言葉などまとめました。
また、水仙の育て方毒性についてもお伝えしますので、水仙を育てたい人はご参考にしてくださいね。

水仙の季節

水仙は耐寒性が比較的強く、北海道から九州まで各地に水仙の名所があります。
寒い地域や海辺によく生えており、冬でも観察できる数少ない花のひとつです。まずは開花時期や季語など、水仙の季節を見ていきましょう。

水仙は真冬〜春が開花時期

水仙の開花時期は1〜4月頃となり、冬から春にかけて花を咲かせます。水仙の中には「ナルキッソス・セロティヌス」などに咲く品種もありますが、基本的にはの花と考えて問題ありません。

また、水仙の別名は冬にちなんで「雪中花(セッチュウカ)」と名付けられています。水仙はまだ雪が溶けないうちから開花するため、「雪の中で咲く花=雪中花」となったのでしょう。

水仙は冬の季語

雪が吹きすさぶ中健気に咲く水仙は、古くから日本人に愛されていました。そのため、水仙は晩冬(2月〜3月上旬)の季語になっています。

江戸時代の俳諧師(はいかいし)松尾芭蕉の俳句に、水仙を詠んだ句があります。
『水仙や白き障子のとも移り』
松尾芭蕉
この俳句は「通された座敷に生けてあった水仙。張り替えたばかりの真っ白な障子越しに日差しを受け、清々しい美しさである。」といった意味です。水仙の美しい姿が浮かぶような俳句ですよね。

水仙の基本情報・花の特徴

水仙の花

水仙の基本情報を以下にまとめました。

種目ヒガンバナ科
開花期1〜4月頃(11月の秋頃に咲く品種もある)
誕生花1月2日、1月3日、1月13日、4月3日
花の色白、黄、ピンク、オレンジ
原産国地中海沿岸、スペイン南部、北アフリカなど

水仙の特徴といえば、花の中央部分にあるラッパ状の副花冠です。副花冠はヒガンバナ科やナデシコ科の花に見られる部分ですが、水仙ほど副花冠が際立つ花はなかなかありません。

水仙の副花冠は、品種によって色や形状が異なります。中には外側の花冠より、副花冠の方が目立つ品種もありますよ。

水仙の品種は一万種以上と豊富

水仙は品種が豊富なことで有名です。英国王立園芸協会では、なんと一万種以上の水仙が登録されています。水仙はガーベラやチューリップのように色が豊富ではないので、品種の多さに驚いた方もいるのではないでしょうか。
とはいえ、花の形状や咲き方で分類すれば、水仙はざっくりと12系統に分けられます。

【水仙の12系統】

ラッパスイセン大カップスイセン
八重咲スイセン小カップスイセン
トリアンドルス系ジョンキル系
タゼッタ系ポエティクス系
バルボコジューム系スプリットコロナ系
キクラミネウス系その他

また、花屋さんに並ぶ水仙はそこまで多くないため、さらに品種は限られます。続いては、水仙の代表的な品種を3つ厳選してご紹介します。

代表品種:1.ニホンスイセン

ニホンスイセンは日本でポピュラーな水仙の一種です。品種名に「ニホン」と入っていますが、室町時代より前に中国からやってきたと考えられています。

ニホンスイセンは副花冠の濃い黄色と、花冠の白い花びらが美しい色彩です。淡路島にある「灘黒岩水仙郷」はニホンスイセンの名所として有名で、約500万本の水仙が咲き誇ります

代表品種:2.ラッパスイセン

ラッパスイセンはその名の通り、副花冠がラッパのように飛び出しています。ラッパスイセンの副花冠は他の品種よりかなり突出しているため、すぐに見分けられるでしょう。

通常、水仙は香りが強い花と言われますが、ラッパスイセンは比較的香りが弱いのが特徴です。

代表品種:3.ナルキッスス・カンタブリクス

ナルキッスス・カンタブリクスはモロッコ原産の水仙です。副花冠が非常に大きく、外側の花冠が隠れてしまうほどです。
ナルキッスス・カンタブリクスの副花冠は、スカートの裾が広がっているような形に見えます。また、他の水仙に比べて副花冠のヒダが少ない点も特徴的です。

水仙は「ナルシスト」の語源と関連がある

水仙

水仙の学名は「Narcissus(ナルキッソス)」といい、ギリシャ神話に登場する美少年の名前から付けられました。
ギリシャ神話のナルキッソスには「ナルシスト」の語源となったストーリーがあり、水仙にも関係するため簡単にご紹介します。

美しい外見から非常にモテたナルキッソスですが、失礼な言動により女性を傷つけることが多々あったそうです。そして一人の女性から恨みを買ったことで、復讐の女神ネメシスがナルキッソスに罰を与えました。
ネメシスがナルキッソスに与えた罰は、「報われぬ恋をすること」です。

ある日ナルキッソスは、水面に映るとても美しい人物に恋をします。しかし水面に移る人物は紛れもなくナルキッソス本人であり、恋が叶うはずはありません。ナルキッソスは叶わぬ恋により心身共にやつれ、とうとう亡くなってしまいました。ナルキッソスが亡くなった場所には、水仙が咲いていたそうです。

【色別】水仙の花言葉

水仙の花言葉は、全般と色別の花言葉に分けられます。プレゼント向けの花言葉ではありませんが、前述したギリシャ神話と関連した興味深い花言葉もあります。

水仙全般「自己愛」「自惚れ」

水仙全般に使われる花言葉は、「自己愛」と「自惚れ」です。自己愛・自惚れは、まさにナルシストを指した言葉でしょう。自己愛はもともと自分自身に陶酔する意味がありましたが、心理学・精神医学では「プライドが高く自信過剰」を指すこともあるようです。

黄色の水仙「私のもとに帰ってきて」「もう一度愛して欲しい」

私のもとに帰ってきて」「もう一度愛して欲しい」は、ギリシャ神話でナルキッソスが与えられた罰に由来すると考えられます。ナルキッソスが受けた罰は「報われぬ恋」であるため、悲痛な愛情がよく表れた花言葉ではないでしょうか。

ちなみに、水仙に限らず黄色の花はネガティブな花言葉を持つ場合があります。プレゼントで黄色の花を贈るときは、事前に花言葉を調べるのがおすすめです。

白色の水仙「気高い」「神秘的」

気高い」「神秘的」の花言葉は、純粋なイメージの白色にぴったりではないでしょうか。ギリシャ神話ではナルキッソスが亡くなった場所に、白い水仙が生えたそうです。このエピソードからも、水仙に神秘的な印象を感じられますよね。

水仙は初心者でも育てやすい花

白の水仙

水仙は簡単に育つうえ香りが良いため、庭に植えてガーデニングを楽しむのにぴったりです。水仙の基本的な育て方は次の通りです。

土質水はけの良い土で育てる
植え付け秋(10〜11月頃)
日当たり日光を好むため、日当たりの良い場所を選ぶ
水やり土が乾いたら午前中にたっぷりと水やり
肥料基本的に不要だが、芽が出始めたころに液体肥料を与えると成長を促す

水はけの良い土を作るには、地植えは赤玉土腐葉土を混ぜて作り、鉢植えは市販の球根用培養土を使うといいでしょう。
また、水仙は一度植えると毎年咲くお花です。もし咲かない場合は球根の成長不足が考えられるため、適度に肥料を与えてください。

水仙には毒がある?水仙の毒性と注意点

水仙を育てるとき注意したいのが、水仙に含まれるです。口にすると中毒症状を発症する恐れがあるため、水仙の毒性について知っておきましょう。

水仙を食べると中毒症状が出る

水仙は可憐な見た目ですが、全草が有毒植物です。特に球根は毒成分が多く、注意が必要となります。

水仙を口にすると、30分以内に頭痛・下痢・吐き気などの中毒症状が表れる恐れがあります。海外では水仙を食べて死亡した例もあるため、十分に気を付けてください。犬・ネコなどペットが水仙を食べるのも危険なため、注意しましょう。

水仙とニラは非常に似ている

水仙の誤食はほぼ毎年発生していますが、その原因は水仙の葉とニラが酷似している点にあります。花の咲いていない時期は水仙の葉のみが生えており、ニラと間違って採取するケースが多いようです。
また、水仙の球根は小さめの玉ねぎに似ています。家庭菜園でニラや玉ねぎを育てる場合は、水仙と混同しないようきちんと区別しましょう。

水仙は寒い季節でも開花を楽しめる花

冬に開花する花はそこまで多くありませんが、水仙は寒い季節でも美しい姿を見せてくれます。雪の中で芽を生やすため「雪中花」という別名がぴったりですね。

水仙は見た目が美しいことはもちろん、香りが良いためガーデニングにおすすめの花です。一度植えれば翌年以降も花を咲かせるため、初心者でも手間を掛けずに水仙を楽しめるでしょう。

寒い季節でも花が咲いている姿を楽しみたい人は、ぜひ水仙を植えてみてはいかがでしょうか。