「あやめ」や「アイリス」は、女の子の名前にもよく使われる親しみのある花です。
しかし、あやめという花自体は聞いたことがあっても、詳しくは知らないという方も多いのではないでしょうか?
そこでこちらの記事では、あやめについてよく分かる次の内容をお伝えします。
- あやめの季節や基本情報
- 花言葉と関連する逸話
- 「しょうぶ」や「かきつばた」との違い
- あやめの香りの効果
「あやめ」はいかにも日本らしい花に見えますが、意外と海外での逸話も多いです。
そのあたりについても記事の中でお話しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
あやめはどんな花?咲く時期は?
「あやめってどんな花か知ってる?」と聞かれても、さらっと答えられる人は多くないかもしれません。
桜やひまわりなどのポピュラーな花に比べ、あやめはミステリアスな印象があります。
まずは、あやめの品種や季節など基本的な情報を見ていきましょう。
あやめの品種・原産国・花の特徴
品種 | アヤメ科 |
別名 | はなあやめ、アイリス |
花の色 | 青、むらさき、白 |
花の特徴 | 花びらの付け根部分が網目模様になっている |
あやめの大きな特徴といえば、花びらの形状や網目模様といえます。
花びらの付き方は内側と外側で2層構造のようになっており、複雑なつくりをしているように見えます。
また、花びらの付け根部分のみ色が異なり、白や黄色っぽい網目模様があるのも特徴的です。
あやめの季節は4月~6月ごろ
あやめが咲く季節は、4月の春ごろから6月の初夏にかけてとなります。
あやめはあじさいと並び梅雨がよく似合う花といわれているため、雨に濡れるあやめを見るのは季節ならではの楽しみです。
梅雨時期に咲くあやめは水に強い植物だという印象を持たれますが、実際にはそこまで強くありません。
あやめが自生するのは水はけのよい乾燥した土地であり、池や湖などの近くでは育たない性質となります。
あやめは初心者でも育てやすい花
あやめは民家の庭にもよく植えられており、ガーデニングしやすい花として人気です。
花には「暑さに弱い」「寒さに弱い」など、それぞれの性質があります。
あやめは耐暑性・耐寒性どちらも優れていて頑丈なお花です。
また、庭植えであれば水やりや肥料がほとんど必要ないため、手間をかけなくてもぐんぐんと育ちます。
ただし、あやめは直接触ると皮膚炎を起こす可能性があるため、育てるときは念のため素手で触れないよう気を付けましょう。
あやめの花言葉と逸話
あやめには次のような花言葉があります。
- 知恵
- 希望
- 信頼
- 勇気
- 天の使い
- あなたを大切にします
どの花言葉も、明るくポジティブな印象を受ける言葉となっていますね。
日本に限らず世界には、あやめがテーマとなった逸話がいくつも存在します。
それらの逸話の中には、あやめの花言葉との関連を感じられるお話も多いです。
ここでは、あやめの花言葉に関連する3つのお話をご紹介します。
ギリシャ神話の虹の女神「イーリス」
ギリシャ神話には「イーリス」と呼ばれる虹の女神が登場します。
あやめは英語で「Iris(アイリス)」と書きますが、「イーリス」と発音することもできます。
イーリスは虹のように天地を結ぶ存在であり、瞬く間に移動できる疾速で知られていたそうです。
その疾速を活かし、女神の最高位ヘラや神々の王ゼウスの伝令使を務めていました。
このようなお話から、花言葉「天の使い」は虹の女神イーリスが由来となったとされています。
王権の象徴「フルール・ド・リス」
つづいては、あやめの花がモチーフとなったマーク「フルール・ド・リス」のお話です。
フルール・ド・リスは、王権の象徴や軍隊の紋章として世界中で使われているシンボルとなります。
特にフランス王家と紋章の関わりは、歴史的にも深く繋がっています。
国として公式な紋章となっているわけではありませんが、現在でもフランス王家の一員がフルール・ド・リスを使用しているそうです。
知恵・希望・信頼・勇気の花言葉は、王権や軍隊のイメージにぴったり合っているのではないでしょうか。
源頼政の妻「あやめ御前」
最後にご紹介する逸話は、平安時代末期の武将である源頼政と妻・あやめ御前に関する物語です。
一説によると、源頼政がヌエと呼ばれる怪物を退治した褒美として、帝から妻を取らせてもらえる運びとなりました。
妻の候補となったのが、源頼政が密かに想いを寄せていたあやめ御前です。
ここで帝は戯れとして、あやめ御前とまったく同じ格好・同じ化粧をほどこした女性を、他に数名並ばせました。
帝から「本物のあやめ御前を当ててみよ」と促され、見事あやめ御前をめとることができたのだとか。
このような結婚に関する逸話もあることから、あやめの「あなたを大切にします」というプロポーズのような花言葉が生まれたのかもしれませんね。
あやめにそっくりな花「しょうぶ」と「かきつばた」
ここまであやめに関する基本情報や花言葉を見てきましたが、あやめを語るうえで欠かせないのが「ショウブ(しょうぶ)」や「カキツバタ(かきつばた)」との違いです。
しょうぶとかきつばたは、あやめにそっくりの花としてしばしば混同されることがあります。
ここでは、あやめ・しょうぶ・かきつばたの違いについて解説します。
「菖蒲」はあやめ?しょうぶ?
突然ですが、「菖蒲」は何と読むかご存知でしょうか?
菖蒲の読み方はふた通りあり、「あやめ」とも「しょうぶ」とも読むことができます。
あやめとしょうぶは異なる花ですが、見た目が似ているうえ漢字が一緒なのでさらに混乱を招きます。
あやめとしょうぶの語源には諸説ありますが、もともとあやめは「しょうぶに似ている花」という扱いだったそうです。
しょうぶの昔の呼び名は「あやめぐさ」といい、あやめぐさに似ており花の網目模様が美しいあやめを「はなあやめ」と呼んでいました。
つまりどちらも「しょうぶ(菖蒲)」から派生した名前であるため、現在でも同じ漢字が使われているのではないでしょうか。
あやめ・しょうぶ・かきつばたの見分け方
「いずれ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」という言葉は、「どちらも美しく区別ができない、甲乙つけがたい」といった意味です。
この言葉が表す通り、あやめ・しょうぶ・かきつばたを見分けるには少しコツが必要となります。
それぞれの主な違いは次のようになります。
あやめ | しょうぶ | かきつばた | |
---|---|---|---|
花の大きさ | 小さめ | 大きめ | 中くらい |
花びらの特徴 | 付け根に網目模様 | 付け根に黄色い筋 | 付け根に白い筋 |
咲く場所 | 乾燥した土地 | 水辺の近くや適湿地 | 水辺の中 |
咲く季節 | 4月~6月ごろ | 5月~6月ごろ | 5月~6月ごろ |
余談ですが、同じくアヤメ科アヤメ属の多年草、花菖蒲(ハナショウブ)もよく似た花で知られていますが、網目模様はないという点であやめと区別されています。
咲く季節はほとんど同じなため、花びらの違いや咲いている場所によって見極めるのが良さそうですね。
あやめはアロマオイルとしても人気
あやめの一種であり地中海沿岸に生息する「ニオイアヤメ」は、世界でも高価な香料として知られています。
ニオイアヤメの根茎を2~3年乾燥させると、甘くうっとりするような香りが楽しめるそうです。
あやめのエッセンシャルオイルは少々お値段が張りますが、アロマオイルや香水であれば比較的簡単にあやめの香りを堪能できるので、専門ショップを探してみると楽しいかも。
あやめのアロマオイルとしての効果や、ブレンドに向いている相性の良い香りをご紹介します。
あやめはリラックス効果が期待できる
あやめの香りは鎮静作用があり、心を落ち着かせてくれる効果を期待できます。
リラックスする機会を設けるのは、ストレスの多い環境や慌ただしい日常を送る現代人にとって大切ですよね。
寝室のルームフレグランスとして使用したり、仕事の合間に香水をふりかけたりすると、休息を促すことができるでしょう。
また、あやめは薬草としての一面も持っています。
皮膚炎や胃痛を抑える消炎作用や、ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系にいいとされています。
あやめと他の香りをブレンドすると自分だけのアロマに
あやめの香りを言葉で表すと、上品・せっけんのようなパウダリー感・甘くてフローラルというイメージです。
スミレに似ている香りともいわれています。
アロマオイルは他の香りとブレンドすると、自分だけの特別な香りをつくることができます。
あやめと相性の良い香りには次のようなものがあります。
- 柑橘系(オレンジ、レモン)
- スパイス系(クミン、コリアンダー)
- ハーブ系(セージ、ローズマリー)
アロマオイルはたくだけで、疲れが緩和するような特別感を味わうことができます。
最近イライラしやすいという人は、あやめのアロマオイルを試してみてはいかがでしょうか。
春は凛としたあやめを楽しんでみて
今回は、見頃の時期や花言葉など、あやめに関するお話をお伝えしました。
ミステリアスな印象のあやめでしたが、日本や海外での逸話も多くあり、昔から親しまれている花ということが分かります。
見頃の時期を迎える4月から6月ごろにかけては、いたるところであやめが凛と咲いている姿を見ることができるでしょう。
あやめは丈夫で育てやすい花なので、ご自宅の庭であやめを楽しむのもおすすめですよ。
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