鮮やかな紫色が美しい「菫(すみれ)」。
山地だけでなく、道端でもよく生えている親しみやすい花です。
今回はそんなすみれについて、咲く季節や色別の花言葉、すみれとギリシャ神話との関わりについてお伝えします。
すみれに関する意外と知らない事実も多いはずなので、ぜひご覧ください。

すみれの品種・原産・別名など基本情報

まずは、すみれの基本情報を見ていきましょう。

種目スミレ科
原産地日本・アジア・ヨーロッパ・北米など
別名スモウトリグサ(相撲取草)
英語名Violet(ヴァイオレット)

注目なのは、すみれの別名が「スモウトリグサ(相撲取草)」ということ。
お相撲さんといえば力強くてたくましい体をしており、可憐なすみれとは一見かけ離れている印象です。
スモウトリグサという別名は、すみれの花の首部分を絡ませて引っ張り合う、という昔の子ども遊びが由来だといわれています。
続いて、すみれの英語名Violet(ヴァイオレット)」は、色味としてよく聞くのではないでしょうか。
秋冬のヘアカラー色としても人気がありますよね。
ヴァイオレットは青みのある紫色となり、日本語ではすみれ色と呼ばれることもあります。

すみれの季節は3月~5月

すみれ接写

すみれが咲く季節は、3月から5月の春頃となります。
桜の開花時期と被っているため、つい頭上の桜に目が行きがちですが、足元には小さいながらもすみれが綺麗に咲き誇っています。
また、すみれと非常に似ている花であるビオラパンジーは、咲く季節が異なります。
ビオラとパンジーは11月から6月にかけて見頃となり、すみれより長い期間に渡って花を咲かせます。
このことから、一見同じに見えるすみれとビオラ・パンジーは、季節で見分けることが可能です。

すみれ全般の花言葉と色ごとの花言葉を紹介

すみれの花言葉はさまざまで、すみれ全般に使われる花言葉と、紫色・白色色ごとの花言葉があります。
一般的に、花言葉はその花の特徴やイメージが反映された言葉が多いです。
小さく可愛らしいすみれには、どのような花言葉があるのでしょうか?
さっそく見ていきましょう。

全般の花言葉「謙虚」「実直」「小さな幸せ

まずは、すみれ全般に使われる花言葉からご紹介します。

  • 謙虚
  • 実直
  • 小さな幸せ

すみれの花は小ぶり儚げな作りをしており、主役というよりは脇役としてひっそりと咲いている印象です。
しかし、決して地味な存在ではなく、まっすぐと伸びた姿は目を引き付けるものがあります。
控えめだけれど多くの人に親しまれるすみれには、謙虚実直という言葉が似合います。
また、すみれの咲く季節は緑が芽吹きだす春。
長く厳しい冬の終わりを告げるすみれは、春という小さな幸せを運んでくる存在といえるのではないでしょうか。

紫色の花言葉「純潔・貞操」「愛情

続いて、紫色のすみれの花言葉は次の通りです。

  • 純潔・貞操
  • 愛情

純潔・貞操という言葉は、穢れがなく心身ともに清らかなことを指します。
すみれは結婚式のブーケや会場の飾りに使われる植物であるため、永遠の愛を誓う場にとても似合う花ですよね。
ちなみに、紫色にはヒーリングリラックス効果があるのをご存知でしょうか。
疲れを感じている人や癒しが欲しい人は、紫色のすみれを自宅に飾ってみるのもおすすめですよ。

白色の花言葉「いじらしい恋」「率直

最後に、白色のすみれの花言葉をお伝えします。

  • いじらしい恋
  • 率直

白色の花全般には、純粋さや無垢さを表す花言葉が多い印象です。
白色のすみれも例外ではなく、曇りのない清らかな言葉のように感じます。
そして、「いじらしい」という言葉は、健気でつい応援したくなるような様子を表しています。
子どもにすみれという名前をつけたら、誰からも愛され応援されるような人になれそうですよね。

すみれの育て方は簡単?

すみれ葉っぱ

すみれは花だけでなく葉っぱの形も綺麗なので、切り花よりもガーデニングなどで楽しみたいお花です。
しかし、すみれは誰にでも育てられる花なのでしょうか?
花が咲くのは3月~5月のため、冬越しや開花時期以外のお手入れ方法も気になるところ。
ここではすみれの育て方と、すみれの種の面白いしくみについてお話します。

すみれはガーデニングに最適

まずお伝えしておくと、すみれはガーデニング初心者でも育てやすいお花です。
すみれは北海道から沖縄まで全国に分布しており、温度変化に強いためたくましく育ちます。

【水やり】

鉢植えで育てる場合は、表面の土が乾いたらたっぷりとお水を与えます。
庭植えの場合は、基本的に水やりはしなくて大丈夫です。
ただし、乾燥した日が続いているときは水やりをしてください。

【日当たり】

日光がよく当たる場所で育てましょう。
鉢植えの場合は強い日差しが当たり続けると、たまに葉っぱが黄色く変色することがあります。
そのときは軽く遮光をほどこすか、1日のうち半日程度は明るい日陰に置くようにします。

【冬越し】

鉢植えのすみれは、凍ってしまわないように南側に置いておくのが好ましいです。
庭植えの場合は特にやるべきことはありません。
庭植えで冬越ししたすみれは、来年も同じ場所に咲くとは限らないので注意が必要です。
その理由は、すみれの種のしくみにあります。
続いてはすみれの種のしくみと、来年も同じ場所に庭植えするにはどうしたらいいかをご紹介します。

すみれの種のしくみ

道端を歩いていると、アスファルトの隙間から生えているすみれを見かけたことはないでしょうか?
すみれがたまに変な場所に生えている理由は、すみれの「種飛ばし」にあります。
すみれは花の時期が終わると、繁殖のために種を飛ばします。
すみれの種は時期が来ると勢いよくはじけるように飛び、その飛距離は50cmから遠くて5mほど飛ぶこともあるそうです。
もし、来年も庭の同じ場所ですみれを育てたいときは、すみれが種を飛ばす前に採取しなければなりません。
すみれの花の時期が終わり閉鎖花という蕾をつけたら、その中に小さな種が詰まっています。
下向きの蕾は熟すにつれて上を向いてきますので、完全に上を向いて種を飛ばす前に、切り開いて種を取り出しましょう。
取り出した種はすぐ植える、もしくは冷蔵庫で保存することができます。

すみれに関するエピソード

すみれ薄紫

最後に、すみれに関する逸話を2つご紹介します。
ヨーロッパではすみれの一種である「ニオイスミレ」が昔から親しまれており、ギリシャ神話でもよく登場しています。
また、バレンタインデーの起源になったといわれる、イタリアの司教バレンティヌスに関するお話も有名です。
それではご覧ください。

恋多き絶対神ゼウスに関する伝説

ギリシャ神話の主要12神であり、もっとも名高いといわれるゼウス
宇宙や天候を支配する力を持ち、神々の王として絶対的な存在感を持っています。
ゼウスには妻である女神ヘラがいましたが、浮気癖があり多くの色恋神話があります。
その中でも特に有名なのは、すみれ色の瞳を持つイオという美しい女性とのお話です。
ゼウスとイオは隠れて会う関係でしたが、あるときヘラに見つかってしまいそうになります。
まずいと思ったゼウスはとっさにイオを雌牛に変え、詰め寄ってくるヘラに「雌牛を愛でていただけ」と言い訳しました。
しかしヘラは真実を見抜いており、ゼウスから雌牛になったイオを貰い受けると、怪物に四六時中見張らせました。
ゼウスはイオに会うことができなくなり、すみれを見てはイオの美しい瞳を思い出していたそうです。

バレンティヌスの伝説

ローマ帝国時代の司教バレンティヌスは、キリスト教迫害下においても信仰を止めず、処刑された人物といわれています。
当時、ローマ皇帝は士気の低下を恐れ、兵士の結婚を禁止していました。
しかし、バレンティヌスは禁令に背き、兵士とその恋人たちの結婚式を密かに執り行っていました。
バレンティヌスは投獄され、ハートの形をしたすみれの葉と手紙をハトの足に結びつけ、牢獄の窓から飛ばしたとされています。
そして、バレンティヌスが処刑された2月14日は、恋人たちの日として浸透したそうです。
バレンティヌスの伝説やバレンタインの起源については諸説ありますが、本当にすみれが関わっているとしたら面白いですよね。

春は桜だけじゃなくすみれにも目を向けてみよう

今回は、すみれの季節花言葉などさまざまなお話をご紹介しました。
すみれの咲く季節は3月~5月頃となるため、同じ時期に咲く華やかなについ目を奪われがち。
しかし足元に目を向けてみると、小さいながらも真っ直ぐで凛としたすみれが咲き誇っています。
すみれはガーデニング初心者でも育てやすい花なので、お庭に彩を添えるのにもぴったりですよ。
ぜひ、すみれを眺めて春の息吹を感じてみてくださいね。

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