紫色で小ぶりの花びらが可愛らしい「萩(ハギ)」。
マメ科の植物で、蝶形花(チョウケイカ)という左右相称の花びらの形をしています。
そこまでポピュラーな花ではない反面、古くから日本人と所縁のある、秋を代表する花です。
今回は、そんな「萩」の見頃の「時期」や「花言葉」などをさまざまな豆知識と合わせてご紹介します。

萩の花

「萩(ハギ)」の開花は7月・見頃は9月頃まで

萩は品種によって早ければ7月頃に咲き始め、9月に最大の見頃時期を迎えます。
開花するのは夏ですが、一般的には「秋」の花としてのイメージが強いです。

「開花時期」と「見頃の季節」が異なる理由

秋のイメージが根付いた理由は、旧暦に関係しています。
旧暦は大昔の時代から明治時代まで使用されていました。
旧暦上では7~9月が秋とされており、萩の開花時期や見頃の季節と重なっています。
萩は古くから庭先に咲いているような一般的な花であったため、秋の花」として大衆に広く浸透したのです。

漢字にも「秋の花」であることが表れている

また、萩は名前からも秋の季節感を読み取ることができます。
漢字をよくよく見てみると草かんむりに秋という字で構成されています。
これは秋に生い茂る植物という意味になります。
漢字の成り立ちはものごとの形から変化していると言われていますが、「萩」もその姿を映しているようです。
秋の凛とした青空のなか、萩の鮮やかな緑と紫の小さな花はとても映えることでしょう。

<秋の七草・花札>昔から身近な存在として浸透

萩は古くから日本において身近な花として扱われており、「秋の七草」のひとつとなっています。

万葉集から選ばれた秋を代表する植物のひとつ

秋の七草とは奈良時代の歌人が万葉集から選んだ7種の草花で、萩以外にも桔梗(ききょう)や撫子(なでしこ)、薄(すすき)などの秋らしい植物が含まれています。
七草というと「七草がゆ」が有名ですが、こちらは春の七草のことを指しているためまた違うものとなります。
春の七草は食べるのを楽しむもので、秋の七草は鑑賞を楽しむものなのです。
万葉集において花をテーマに詠まれた歌のなかで、桜や梅よりも登場回数が圧倒的に多いのが萩でした。

7月の花札「萩に猪」

また、江戸時代に生まれた娯楽のひとつ花札にも萩が登場します。
7月札には萩と猪が描かれており、その絵にはこのような成り立ちがあります。
萩には邪気をはらう魔除けの効果があるとされ、猪は戦いの神の使いであるとして昔から縁起がよいものとされてきました。
そして猪の寝床は「臥猪の床(ふすいのとこ)」と呼ばれており、その寝床は萩を倒して作られているのです。
戦いの神の使いである荒々しい猪が、寝床では穏やかに休める様子を表したのが花札の1枚となりました。
奈良時代には万葉集、江戸時代には花札と、長年に渡り広く大衆に愛されてきた存在ということがよく分かりますね。

萩の花

「萩」の品種と別名にはどんなものがある?

萩の種類は非常に多く、その数は40種類以上とも言われています。
その中でも、よく日本で見かけるのは以下の4種類です。

ヤマハギ

日本全国の山野に広く生えており、万葉集で詠まれたのはほとんどがこの品種とされています。
花びらの色は紅紫色で、枝はあまりしなだれることなく伸びていきます。

ミヤギノハギ

秋になると花壇や公園でよく見かける品種で、寄せ植えにも適しています。
枝が伸びやすいため柔らかく下に垂れる様子が美しく、花びらの紫色も濃く鮮やかです。

ニシキハギ

見た目はミヤギノハギに似ており、花びらは紅色や白色などがあります。
白色のニシキハギはシラハギという品種に分類され、ガーデニングに好まれています。

メドハギ

秋の山野に生えていることが多く、木のように真っ直ぐ上に伸びる姿が特徴的な品種です。
花びらの色は全体が白く、中央部分に入っている紫の斑が目を引く美しさです。

「萩」の別名

続いて別名についてご紹介します。
・初見草(はつみぐさ)
・庭見草(にわみぐさ)
・野守草(のもりぐさ)
・鹿鳴草(しかなきぐさ/ろくめいそう)
・鹿妻草(しかつまぐさ)

数ある別名のうち、すべてに草という文字を含んでいます。
そのほとんどが緑色の葉っぱで覆われており、小ぶりな花びらがぽつぽつと咲いている様子は花より草の部分が目立っています
このことからすべての別名が「~草」と呼ばれているのかもしれませんね。

萩の花

「萩(ハギ)」の花言葉・誕生花について

日本人らしい謙虚さを表したような花言葉とその意味について解説します。

「思案」

いろいろと考えることや頭を巡らすことを思案といいます。
秋を表す四字熟語に「秋はふと寂しい思いを感じる」という意味の「春愁秋思(しゅんしゅう-しゅうし)」という言葉があります。
季節柄、秋は孤独とともにもの思いにふける様子からこの花言葉が生まれたのかもしれません。

「内気」

内気とは引っ込みがちな性格で、消極的な気質を表しています。
萩の花はとても小ぶりで、大輪で主張するようなユリや胡蝶蘭のような派手さはありません。
その姿から一歩引いた奥ゆかしさと落ち着いた様子がぴったりとこの言葉に一致しますね。

「柔和な精神」

とげとげしさの無い、優しく穏やかな心のことを指しています。
猪の寝床となって優しく受け入れるように、物腰やわらかな姿勢は周囲に愛されるイメージがあります。

萩の誕生花

誕生花としては9月24日、10月1日とされています。
9月下旬~10月はすっかり気温も低くなり秋も深まる時期です。
お月見の時期もこの頃と重なっており、萩が咲く庭にでて満月を眺めるのはとても情緒がありますね。
庭見草」という別名がある通り、萩と庭には切っても切れない関係があるように感じます。

「萩」が関係する銘菓・名所

ここで、誰もが知っている有名なお菓子の由来やハギの花でつくられた珍しいトンネルについてご紹介します。

おはぎの名前の由来は萩

おはぎは漢字で書くと「御萩」となり、粒あんの皮がプチプチと浮かんでいる様子が萩の花に似ているとされたため名付けられました。
おはぎはぼたもちとも呼ばれていますが、この2つには実は違いがあります。
まず食べる季節が異なり、おはぎは秋、ぼたもちは春に食べるとされています。
そして外側のあんこにも違いがあり、おはぎは粒あんで表面がボコボコしている反面、ぼたもちはこしあんで表面がツルッとしています。
ぼたもちを漢字にすると「牡丹餅」となり、4月~6月が開花時期である牡丹がもとになっているのです。
おはぎとぼたもちは全く同じに見えて、外側のあんこ・食べる季節・由来となった花などはまったく異なりますね。

宮城県の銘菓「萩の月」

月銀盆

仙台のお土産の定番となっている「萩の月(はぎのつき)」。
まろやかでやさしい風味のオリジナルカスタードクリームをたっぷり使い、ふんわりとしたカステラで包んだ人気の銘菓です。
お菓子を包んでいる透明な個包装には萩が描かれており、名月を表すカステラのうえに重なるように包装されています。
仙台には宮城野という地区があり、そこは昔から萩が咲き乱れる名所となっています。
その宮城野の秋の空にぽっかり浮かぶ名月をかたどり、この銘菓が誕生しました。

【公式】菓匠三全オンラインショップ
https://www.shop.sanzen.co.jp/

山口県にある名所「ハギの花トンネル」

ハギの花トンネル」は山口県萩市にあります。
ハギは萩市の市花となっています。
約200株の花を使った50メートルの歩行専用トンネルは日本一の長さで、10月中旬~下旬の時期に濃いピンクの花が見頃を迎えます。
花のトンネルを潜り抜けられるとてもロマンチックな空間です。
萩市では同じ時期に食・自然を楽しめる秋のイベントを数多く催しているので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

場所 陶芸の村公園(山口県萩市椿東1284-4)
見頃時期 10月中旬~下旬
問い合わせ 0838-25-1750(萩市観光協会)
公式サイト https://www.hagishi.com/

「萩」は着物の柄としても好まれている

日本の伝統文化として欠かせない着物の柄にも萩は使われています。
着物の柄にはたくさんの種類がありますが、花・天候・生き物・食べ物などを季節に合わせて着用するのが好ましいとされています。

萩の花

萩の着物を秋に着ると季節外れ?

萩の季節を考えると秋に着るものと思いがちですが、まだ暑さの残る晩夏に着るのがベストです。
その理由は、着物の世界では花が見頃の時期を迎えるまでに着るのが粋とされているからです。
萩の柄が描かれている着物は夏仕様となっていることが多く、残暑が残る季節に涼しい秋を先取りするという意味もあります。
他の花であっても同じマナーが適用されるため、花の開花時期の半月~1ヶ月前くらいを目安に着用し始めると丁度いいでしょう。

秋をイメージする柄と組み合わせる

着物に合わせて小物や帯も秋の柄を選ぶと、より一層おしゃれになります。
萩と一緒に組み合わせる柄として、薄(すすき)・月・うさぎ・鹿・栗などが人気です。
特に鹿は、萩の別名である鹿鳴草(しかなきぐさ/ろくめいそう)と関連して昔から馴染みのある組み合わせです。
着物の世界は奥が深くTPOに厳しい部分がありますが、こういった豆知識を知っておくとより興味深いものに思えてきますね。

まとめ

今回は、大昔から日本で愛されてきた秋の花「萩」についてご紹介しました。
内容をまとめると、
・見頃時期は9月
・万葉集や花札で昔から馴染みある植物
・花言葉は「思案」「内気」「柔和な精神」
・おはぎは萩の花がもとになった和菓子
・萩柄の着物は晩夏に着るのが粋

となります。

決して派手さはなくしとやかな萩の様子は、和の心を大切にしてきた古くからの文化にとても根付いています。
山野や公園に咲き乱れる萩を見かけた際には、1000年以上前から日本人とともに過ごしてきた花に思いを馳せてみるのもいいかもしれませんね。

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